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カドミウムの毒性は超危険【イタイイタイ病を引き起こした危険物質】

<監修薬剤師 日髙宗明>
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カドミウムをご存じですか? 日本の四大公害病の1つである、イタイイタイ病を引き起こした原因とされている毒性の強い金属元素です。

カドミウムは岐阜県の三井金属工業神岡事業所による鉱山からの未処理廃水により、富山県の神通川流域において甚大な健康被害をもたらしました。

 

水質汚染や土壌汚染を引き起こし、今なおその爪痕を残すカドミウム。今回は、カドミウムの危険な毒性について検証していきます。

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カドミウムの性質

 

やわらかい金属

カドミウムは、青みを帯びた銀白色の軟金属で、展性に富んでおり加工しやすいという性質があります。

 

亜鉛属元素の1つ

亜鉛、水銀と同じ亜鉛属元素の1つです。

カドミウムは亜鉛鉱石の中に1%程度含まれており、亜鉛や鉛を精錬した際に副産物として取り出されます。

融点、沸点が他の金属元素よりも低いという性質があります。

 

酸化しやすい

さびにくく美しい金属光沢を持っていますが、湿気の多い場所では徐々に酸化されてしまい、光沢を失って灰色になってしまいます

 

強い毒性を持つ

低濃度でも長期間摂取すると強い毒性が現れますので、鉱山からの廃水や工場による水質汚染・土壌汚染は環境や農作物を汚染し、人体にも多大な健康被害をもたらします。

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カドミウムにはこういう用途があった

 

ウッド合金の成分材料や、顔料、ニッカド電池の電極など様々な工業製品に用いられています。カドミウムは中性子を吸収する性質があるため、原子炉の制御用材料にも利用されています。

そのほか、メッキの材料として1960年代まで自動車部品に使われてきましたが、現在は毒性が懸念されて使用量は減ってきています。

 

カドミウムの毒性は超危険!

 

イタイイタイ病

カドミウムは非常に毒性が強く、多量にそして長期間摂取すると体内蓄積によりカドミウム中毒になります。かつて、イタイイタイ病の被害者は主に出産経験のある中高年の女性が多く、男性の被害者もいましたが、ほぼ全員が稲作などの農作業に従事していた農家の方でした。最も多かったのが35歳から更年期に掛けての女性だったようです。

 

カドミウムに汚染された地域は富山県神通川流域以外にも、石川県の尾小屋鉱山、兵庫県の生野銀山、秋田県の小坂鉱山、群馬の東邦亜鉛対州鉱山・安中製錬所、長崎対馬の東邦亜鉛対州鉱山、佐須川、椎根川水系域などがあり、今もなおイタイイタイ病で苦しむ患者さんが後を絶ちません

 

急性中毒

経口摂取により、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などの胃腸症状が起こります。

胃腸症状の他、頭痛、口の中の金属味、悪寒、発熱、筋肉痛などが起こります。
粉塵を高濃度で吸い込んでしまうと、数時間で咳、頭痛、咽頭痛、発熱、嘔吐、悪心、胸部不快感などが生じます。

呼吸困難とチアノーゼなどのの症状が起こることもあります。

肺の症状が早く出る場合は、生命の危険もあります。

チアノーゼについてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
チアノーゼの症状チェック【3つの原因と対処法も確認しておこう】

 

 

腎障害

尿細管不全により腎機能不全が起こり、頻尿、蛋白尿、電解質異常、筋力低下、痛風などの症状が出ます。

イタイイイタイ病は慢性カドミウム中毒による腎機能障害に、骨軟化症が合併したものと考えられています。

 

体内に入ったカドミウムは肝臓と腎臓に集まり、腎臓に蓄積されていきます。すると腎臓の機能が狂ってしまい、血液中のリンとカルシウムが尿と共に体外へ排出されてしまいます。

腎機能の低下についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
腎機能低下の3つの原因!【この症状に注意して!】

 

骨軟化症

腎機能の異常による血液中カルシウムの不足を補うために骨が分解され、これが骨軟化症、骨多孔症の原因となってしまいます。骨の中のカルシウムが血液中に溶出するために起こる症状です。

 

腰、肩・膝などの鈍痛に始まり、大腿や上膊部に神経痛のような痛みが起こります。症状が進行すると歩行時の下肢骨痛、呼吸時の肋骨痛なども出始めます。

骨の強度が極度に弱くなるため、少し体を動かしただけでも骨折してしまうこともあり、悪化すると歩行不能となって寝たきりになってしまいます。

 

骨軟化症はビタミンDの大量投与により、ある程度症状を和らげることができます。

 

骨軟化症についてくわしくはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
骨軟化症の5つの症状!【原因や治療法を徹底解説!】

 

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カドミウムは規制されている有害物質

 

環境省は、平成26年12月1日よりカドミウム及びその化合物についての排出基準を0.1mg/Lから0.03mg/Lに、地下水の浄化措置命令に関する浄化基準も0.01mg/Lから0.003mg/Lへと改正し、規制が以前よりも厳しくなっています。

 

自治体の中には独自の基準値を設けているところもあるようです。基準値を超える量が検出されると罰則があるなど、厳しい規制が敷かれているようです。

 

カドミウムを扱っている工場では、定期的な水質検査を行うことが義務づけられています。工場の従業員もまた、定期的な健康診断が必要です。

 

また、工場跡地に住宅を建てる場合などは、土壌検査をする必要があります。カドミウムに汚染された土の上に家を建てて住むということは、空気を通してカドミウムが体内に蓄積されていく恐れがあるためです。

 

亜鉛鉱山の跡地付近も土壌汚染の可能性があるため、注意しなければなりません。

 

いったんカドミウムにより土壌汚染されてしまった土地は、長い期間毒性が抜けません。人体にも約30年間蓄積し続けると言われています。

 

昭和44年12月に健康被害救済法が施行され、96名の方が認定を受けました。しかし、現在でもイタイイタイ病と認定される新たな患者さんは増えています。

 

今も富山県の神通川流域の農地では、農作物から基準値を超えるカドミウムが検出されており、政府が買い上げている状況です。

これらのことからもカドミウムがいかに危険な物質なのかお分かり頂けるのではないでしょうか。

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